「わっ、織くんだ!!」


朝。


クラスメイトの女子のひとりが、廊下を見てそう声を出せば。


ほとんどの女子が、彼をひと目みようと一斉に教室の廊下側へと集まり出す。


クラスの同じグループの子たちとおしゃべりしていた私も、その1人だ。


一目散に走って行って、教室の後ろのドアから身を乗り出すと。


わっ。
今日も国宝級の顔面の良さ……。


ミルクティー色のサラサラの髪に、色素の薄い瞳。そしてすらっとした高身長。


柳瀬(やなせ) (おり)くん。
学年でもっとも顔がいいと有名な男の子だ。


彼とすれ違う人全員が振り返るような美貌。


それでいて口数が少なくてクールでちょっぴりミステリアスなところも、彼の魅力。


そんな織くんは、今の私が学校で生きるための糧だ。


織くんと廊下ですれ違って彼の香りをかげた日もハッピーな日。


今みたいに、朝から爽やかに登校してきた彼を見れる日もハッピーな日なのである。


高校2年生、白井 初花。


推しがいるおかげで、ただいま学校生活エンジョイ中です!