『麻倉、次の問題解いて』


『はい』


私のクラスは今、英語の授業中。


指された生徒が歩いて黒板まで行く。


首を傾げながら考えてる彼女が答えを書くのを、少し離れて見守ってる先生。


白いワイシャツにオシャレなネクタイ、少し袖口をまくって腕組みをして立つ姿。


穏やかで優しい横顔が…


あまりにも、眩しかった。


鼻筋が通った高い鼻に少し薄めの唇。


大人の色気が漂う爽やかなツーブロックのナチュラルショートの髪がとても良く似合ってる。


色は…黒。


センターパートで少し長めの前髪から、整った眉とキリッとした綺麗な瞳が覗いてる。


化粧はしてないのにキメの細かいすべすべした肌は、女子達の間でも評判だ。


どんな化粧水、美容液を使ってるんだろうとか…


休憩時間にはそんな話が飛び交ってる。


先生が歩いて私の横を通り過ぎる度、ほんのり香る大人な匂いにクラっとする。


私は…昔から匂いに敏感なのかも。