「なっ!? お、前!?」

 その人は振り上げていた男の腕を掴んでいる。


 助けて、くれたの?


 希望的観測でそう思うけれど、彼の青い瞳はあまり感情が読み取れない。

 何を思って男の腕を止めてくれたのかが分からなかった。


「ぐっあ、がぁ!」

 男の苦し気な声を聞き、ハッとする。


 金色の彼は掴んでいた手にかなりの力を込めた様だった。

 黒いフード付きのミリタリージャケットを着ているのでちゃんとは分からないけれど、結構な細身に見える。

 それなのにどこからそんな力が出てくるんだろうか。


 圧し掛かっていた男があたしの上からどくと、彼は腕を離した。

 男は掴まれていた腕を抑え、その場に転がり痛みに悶えている。


 青い瞳が、真っ直ぐにあたしを見下ろした。


 ドクンッ


 彼の眼差しの冷たさが、心の奥まで入ってきたような感覚に心臓が反応する。

 そのまま凍らされたかのように目が離せなかった。


 感情の読み取れない目が少し楽し気に細められたかと思うと、彼の方から視線を外される。



「さて、俺の睡眠を邪魔したお前らをどうしてやろうかな?」

 大柄な男を見ながら、彼は透き通るような声で言の葉を紡いだ。