「よ、夜這いって……っ、」
覆いかぶさられている下で、必死にもがくけれど。
「っ、何時だと思っ……!」
すりすりと手の甲をなでる指に、声が掠れてしまう。
っ、くすぐったい……っ。
今は親もいるから、普通の声で話さなくていいのが救い。
だって、こんな両手を握られた上に。
「っ、あ……やめ、て」
「っ……なんて声、出してんの」
割って入るように、指で固く結んでいた口を開かれたら。
「っ、ふ……っ」
体が震えて、目元も潤んで。
「っ、やめ……、」
「かわいすぎ」
もう、抵抗なんてできない。
「手握ってるだけなのに、なんでこんなかわいーことになんの。これ、俺限定?」
「っ、ううっ……」
「この間キスしてから、もう1ヶ月もむぎにさわってない。むぎ不足で死ぬかと思った」
「し、死ぬなんて……」
「俺、もう限界。な、キスしたい」
「だめ……、」
「なら抱きしめるだけ」
「だ、め」
「なんで……」
「それ、は……っ」
「俺とキスするのいや?」
「ちがう……」
「じゃあ、なんで」
ぼうっとした月の光に照らされた渚の顔。
今はそれが、痛々しいくらいに歪んで、眉が下がってて。