心臓がバクバクする。
こんなに緊張するのは始めてだ。

シキの言葉で色々考えた。
本当に色々考えた。

でもやっぱり小林さんを奪い取るという選択肢は俺にはなかった。

どんなに小林さんの事が好きでも、どんなに胸が苦しくても、どんだけ悔しくても、彼女を幸せにするのは俺じゃない。

だけど俺にとっては初恋だ。
それが告げずに終わる名もなき恋になるのだけは嫌だった。

だから俺は小林さんに振ってもらうことにした。

決行するのは送別会。
それ以外で小林さんと二人きりになるのは無理だと判断した。

女性社員に囲まれるのは想定内。
適当に相槌をしながら話半分で聞く。

勿論。
チラチラと小林さんたちを確認しながら…。

そこでようやく彼女が席をたった。
それを確認すると俺も女性陣の群れからでる。

適当にトイレに行くと言って彼女を追う。