「――…しーちゃん、起きて、起きて」
「…ぅん、ひま、り…」
体を揺らされる感覚に重い瞼を開く。
顔を覗き込んだ陽葵に微笑んで「おはよう」と一言放つと、嬉しそうに笑って返してくれた。
「うん、おはよ、しーちゃん」
朝一からこんなに癒されて良いんだろうか。
陽葵の笑顔は世界を救うと思う。なんたって可愛いは正義。つまり陽葵は正義。
そんなどうでもいいことを考えながら、既に外に出る準備を済ませている陽葵に目を瞬かせた。
「…陽葵、もう帰るの?」
「うん。学校あるから、お家に帰って準備しないといけない。寂しいけど、一度お別れ」
柔らかく微笑む陽葵に、なら私も起きないとな、と体を起こして立ち上がる。
そうか、陽葵も学校があるのか。
それにまだ子どもなのに家に帰らなかったんだ、家族も心配しているはず。
大事にならないといいけど…。
「…布団、ふわふわ、寝心地いい。久しぶりにちゃんと寝れた。ありがと、しーちゃん」
「うん?…あぁ、なんたって新品だからねこの布団。気に入ったならまたおいで。一緒に寝てあげる」