高校入学を間近に控えた雪解けの日。
その日はバイトで遅くなり、夜遅くにアパートまで歩いていた。
ちなみにバイトは年齢詐称だ。
まともな店が年齢確認をしないはずがないので、繁華街にあるかなり緩めの店を狙って面接を受けた。
名前だけで入れた。店長仕事しろ。
そんなこんなで今日も多忙のバイトを終え、やっとの思いで帰路に着いたというのに。
繁華街を漸く抜けるというところで、何気無く通り過ぎようとした路地裏に気配を感じた。
「………。」
普段なら無視する、無視する、が…。
あの向こうに力無く座り込む青年は、一体どうしたのだろうか。