×月×日

「中に入りません? 今ね、妹が来ているの。 紹介しますわ」

 ジェイは屈めていた腰を戻し、貧相な服の誇りを払いながら笑う。
 そして玄関ポーチの離れた場所に立つ私の元に近寄る。 私も同様にジェイに近寄り、向かい合って並び立った。

 彼はロナウドよりもさらに背が高く、くしゃりと笑った顔が印象的だ。

「そうか、来客中だったのか。 邪魔してしまったな」

「そんな事ないわ。 私こそ、最近はご無沙汰してしまって」

「ビアンカは元気だよ。 走り回るし、ミルクもよく飲むようになった。 子犬とはいっても、成長はあっという間だね」

「ジェイがいなかったら、ビアンカはあのままだったかもしれません。 あの子は運が良かったのね」

「もしもビアンカを拾ったのが運命だとしたら、君と出会ったのもそうなのかもしれないね」