×月×日

「ジェイの爵位をお聞きしてもよろしいですか?」

 いくらロナウドの友人だといっても、どのような家格なのか何も知らないのでは応対の仕方がわからない。
 平気で軽口が叩ける人物という事は、ロナウドより高い爵位の可能性はある。 そうなると、私も失礼な態度を取るわけにはいかないはずだ。

 だから確認したかったのだ。
 私の回りには貴族意識から逸脱する事のない、ごく当たり前の、知り得る紳士ばかりなのだ。

「面倒だよね、家のしきたりだとか家風だとか。 前衛的ばかりが良い事だとは思わないが、保守的すぎるのも考えものだ」

「あの、それはつまり……」

「ただの貴族さ」

 彼はそう言って笑った。