片付けねばならない仕事を一段落させた後、執事が用意したお茶を手に窓から眼下の庭を眺める。 そこから見えるはずの、以前なら鮮やかに咲いていた沢山の花は今はもうどこにも見当たらない。

 目で楽しみ、匂いで安らぎ、季節で味わう素晴らしさをリリィは知っていた。 彼女の愛でる心は姉妹ならではの遺伝ではなく、彼女だけのまるで魔法の杖のような力だったのかもしれない。

 リリィがいなくなってほんの数ヶ月、あんなにも当たり前のように広がっていた光景は無惨な枯れ草となって変化を遂げた。

 これは俺に与えられた罰なのだろうか。