次は、Bさんの体験談です。数年前、Bさんは病院に入院している家族のお見舞いに来ていました。

Bさんの家族は個室ではなく、数人の人がいる大部屋に入院していました。Bさんの家族が入院しているのは寝たきりの人も多く、Bさんの家族の隣のベッドで寝ている人も寝たきりの人でした。

Bさんはずっと家族のそばにいたのですが、時々タバコを吸いに行ったりするために病室を離れることもありました。

そして、Bさんがコーヒーを買うためにサロン室へと入り、そこでコーヒーを片手に本を読んでいた時のことです。Bさんがふと顔を上げると、トイレからBさんの家族の隣に寝ていたはずの患者が出てきました。

(あれ、あの人歩けたんだ……)

Bさんは一瞬そう思ったものの、その患者の顔色が真っ青で足取りもおぼつかなかったため心配になり、声をかけてしまいました。

「……あの、大丈夫ですか?歩けますか?」