真広が家に女の子を連れてきたこの日、事件は起こった。

畑の苺がいくつか食べられた。


そして俺はその犯人が誰だか気づいた。俺は少し勘が鋭すぎるのかもしれない。犯人が分かったことは良かったはずなのに、真広のことが脳裏に過ってしまった。真広とあんなに仲良く話していたよ、と、津由が言ったせいかもしれない。

怜美という少女が家に来て、帰った後、俺は畑の被害に気づいた。そして玄関には、畑の土が落ちていた。俺も津由も畑に入る時の靴は別の場所に置いてあったし、真広の靴は綺麗だったから。


怜美に、違いない。

どうして盗みなんかやってしまったのか。


しばらく考えて、なにか理由があるのかもしれないと思って、たまに家に来るようになった怜美のことを気にかけていたが、彼女が自白することはなかった。