スネークキメラを取りのがしたあの日から何日も経ったこの日、王都魔法騎士団の団長であるアルフォークはルーデリア王国一の聖魔術師でもあるエクリード殿下及び王国お抱えの筆頭魔術師であるルーエンと共に再びあの場所を訪れていた。
 既に何回も来た鬱蒼(うっそう)と茂る木々の合間を抜けてゆくと、そこは見慣れた草原の広場が広がっている。

「アル、ここかい?」
「ああ、そうだ」

 ルーエンからの問いかけに、アルフォークは頷いた。
 広場には背の低い草木に覆われ、所々に花が咲き、野いちごが実っている。花は風を受けてさらさらと揺れていた。ルーエンはその空間をぐるりと見渡した。

「うーん、確かに空間の歪みは感じないね。全く感じないどころか、ここは聖魔法をかけたかのような清々しい空気を感じるよ」
「やはりそうか。ルーエンならあるいは何かがわかるとおもったのだが……」