爽やかな陽気の休日。人々は日の光が差し込む神聖な神殿で跪き、一心に祈りを捧げていた。

 ──神よ、どうか我らをお救い下さい。

 この祈りは既に十年以上も続いている。彼らの前の祭壇には、この世界を造ったとされる創造の女神、シュウユの美しく微笑む石像が鎮座していた。慈愛に満ちた目をしたその女神の像は、今日も穏やかに人々を見下ろしている。


 この世界は表と裏の二つから成り立つと言われている。

 表は今居る人間の世界、裏は魔獣の世界。
 この二つは表裏一体。そのため、時折出来る空間の歪みのせいでつながった穴から古来より双方に迷い込むものが後を絶たない。そのたびに聖魔法を用いる聖魔術師が浄化を行うことにより空間の歪みを正し、穴を塞いできた。