ケータイ小説 野いちご

毒林檎令嬢と忠実なる従僕〜悪役はお断りなので番契約を破棄したら溺愛過剰な狼の独占欲を煽ってしまった〜

✧2✧ かわいい従者には構いたい

 お父様が主催した私の誕生日を祝うパーティーは、ディートグリム公爵家自慢の庭園も解放して行われていた。

 すっかり太陽が沈んだ夜だというのに、淡い紫や緑の光で明るく照らされているのは妖精植物のおかげだ。
 妖精植物とは通常の植物とは桁違いの魔力を持つ植物だ。魔法薬や錬金術で作る魔道具の貴重な材料となる。我が家の土壌は魔力が豊富なため、美しい妖精植物が育ちやすい環境にあった。

 お父様に付いて回って招待客への挨拶が終わったあとは、アルトバロンとふたりで会場内の散策をすることにする。
 せっかくだからパーティーを楽しみながら親睦を深めたい。

「素敵なお庭ですね」
「ありがとう。今はちょうど、私の誕生日ごとに増えたエルダーアップルの果実が見頃なの。こっちよ」

 私はアルトバロンの手を優しく握る。

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