お父様が主催した私の誕生日を祝うパーティーは、ディートグリム公爵家自慢の庭園も解放して行われていた。

 すっかり太陽が沈んだ夜だというのに、淡い紫や緑の光で明るく照らされているのは妖精植物のおかげだ。
 妖精植物とは通常の植物とは桁違いの魔力を持つ植物だ。魔法薬や錬金術で作る魔道具の貴重な材料となる。我が家の土壌は魔力が豊富なため、美しい妖精植物が育ちやすい環境にあった。

 お父様に付いて回って招待客への挨拶が終わったあとは、アルトバロンとふたりで会場内の散策をすることにする。
 せっかくだからパーティーを楽しみながら親睦を深めたい。

「素敵なお庭ですね」
「ありがとう。今はちょうど、私の誕生日ごとに増えたエルダーアップルの果実が見頃なの。こっちよ」

 私はアルトバロンの手を優しく握る。