十三歳の誕生日当日。今年は固有魔法が発現する年齢なので、家族だけで過ごすことになった。
 というのも、私は魔力量が多い方なので、固有魔法が発現する時に万が一暴走したら大変だという判断からだ。

「ティアベルお嬢様にはどんな固有魔法が授けられるでしょうか。楽しみですね」

 栗色の引っ詰め髪が特徴のメイド・エリーは、朝からずっとワクワクした様子で、「何か兆しはありましたか?」「お昼を回りましたね。発現はまだでしょうか?」と分刻みで尋ねてくる。

「もしかしたら既に発現していて、ティアベルお嬢様が気づかれていないだけかもしれません。やっぱり鑑定師を呼びましょう。エリーが旦那様に掛け合ってみますから」
「ううん、大丈夫よ。固有魔法が発現したら、私もきっとわかるから」
「ティアベルお嬢様がそう言うのでしたら……。でも心配です。私の家では鑑定師を呼びましたので」

  そう言って、子爵家出身のエリーは両手を握りこみながらそわそわと歩き回る。