二月。アルトバロンが私の従僕になって約半年が経った。
季節は冬を迎え、私たちはディートグリム公爵領にある屋敷で過ごしている。
この世界の季節の移り変わりはほとんど日本と一緒だ。
ディートグリム公爵領は地形の関係か雪が舞う日も多く、今日も外には銀世界が広がっている。学院の入学季節は春ではないけれど、前世と同じ四季を感じられるのは嬉しい。
そんなある日。暖炉の前にあるソファに腰掛け、そばに控えているアルトバロンに勉強を教えてもらいながら過ごしていると、コンコンと扉がノックされた。
「はい、どうぞ」
「ティアベル、少し頼みがあるのだが」
扉を開けて入ってきたお父様は、左手に萌黄色の分厚い本を持っていた。
見慣れた表紙の装丁ですぐに題名がわかる。精霊族出身の有名な錬金術師、フィー・エルドラードの記した『妖精植物事典』だ。
季節は冬を迎え、私たちはディートグリム公爵領にある屋敷で過ごしている。
この世界の季節の移り変わりはほとんど日本と一緒だ。
ディートグリム公爵領は地形の関係か雪が舞う日も多く、今日も外には銀世界が広がっている。学院の入学季節は春ではないけれど、前世と同じ四季を感じられるのは嬉しい。
そんなある日。暖炉の前にあるソファに腰掛け、そばに控えているアルトバロンに勉強を教えてもらいながら過ごしていると、コンコンと扉がノックされた。
「はい、どうぞ」
「ティアベル、少し頼みがあるのだが」
扉を開けて入ってきたお父様は、左手に萌黄色の分厚い本を持っていた。
見慣れた表紙の装丁ですぐに題名がわかる。精霊族出身の有名な錬金術師、フィー・エルドラードの記した『妖精植物事典』だ。