ケータイ小説 野いちご

毒林檎令嬢と忠実なる従僕〜悪役はお断りなので番契約を破棄したら溺愛過剰な狼の独占欲を煽ってしまった〜

✧1✧ 悪役令嬢と狼従者の主従契約


 私の七歳のお誕生日。最愛の妻の忘れ形見となった娘を溺愛するお父様が、『誕生日プレゼント』と称して私に与えたのは、なんと狼のようなもふもふの耳を持つ黒髪美少年だった。

「ティアベルよ。彼は今日からお前の忠実な従僕として、お前を守る剣となり盾となる」
「……えっ?」

 ちょっと待って、意味がわからない。意味がわからないからもう一度言う。
 私の七歳の誕生日祝いにプレゼントとして与えられたのは、黒い毛並みの狼耳をピンと立てて微動だにさせず、警戒心に満ちた菫青石(きんせいせき)色の凍てつく瞳でこちらを睨みつけている『絶世の黒髪美少年』だった。

 ……うん? やっぱり理解できないな?
 よくわからない事態に内心大混乱だ。

 まるで冥府の死神と見紛うばかりのおそろしき美貌と囁かれ、社交界で畏怖されているお父様は、悪役顔で微笑んでいる。

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