みんなが自分のことを下に見ていることはわかっていた。


体はひ弱だし、特別勉強ができるわけでもない。


輪の中に入るのも苦手だし、話術に長けているわけでもない。


恵一は自分の席へ戻ると、机の下でデジタクカメラを確認した。


恵一が必死になって守った甲斐があり、傷ひとつついていない。


そのことに安堵してから、さっき撮ったばかりの写真を確認した。


友人と一緒に談笑しているリナの写真だ。


リナの笑っている横顔はとても愛らしくて、見た瞬間に心が温かくなるのを感じる。


よかった、ちゃんと撮影できているみたいだ。


実は恵一の部屋にあったポスター類のほとんどが、こうしてリナを盗撮したものだった。


もちろん、自分が悪いことをしているという実感はある。


だからこそああしてバレないように最新の注意を払っているのだから。


今日は運悪く大田に見つかってしまったけれど、こんなことは10回に1回もないケースだった。


恵一はカメラの中のリナを見つめて頬を緩めたのだった。