工事現場から出ると満月が出ていた。


周囲に外灯がなくても十分に周りを確認することができた。


光平はゆっくりと歩いて人影を探す。


物音は少しもしない。


しかし足元は砂利がしかれているので、ここから逃げていたとずれば足音が聞こえているはずだ。


つまり、相手はまだこの工事現場にいる。


さっき聞こえてきたあの音は間違いなくカメラのシャッター音だった。


夜中にこんな場所を撮影しに来るのはオカルトマニアくらいなものだろう。


だけど光平の脳裏には全く別の人物の顔が浮かんできていた。


それは仮面を拾った恵一だった。


恵一の持つ能力は盗撮、つまり、カメラだ。


そして恵一はリナの隠し撮りをしていた。


リナはクルミの家に盗みに入っているから、あの放火が起こったときに恵一がリナを追いかけて、あの場所にいた可能性があるのだ。