光平が幼稚園に入る頃、両親が交通事故で死んでしまった。


それは、光平の入園準備に幼稚園へ出向いたときのことだった。


多きなグラウンドに大きな校舎。


沢山の教室やプールもあり、光平は興奮して室内を駆け回った。


グラウンドには砂場やブランコなどの遊具もあって、まるで公園みたいだった。


ここで好きに遊んでいいと思った光平は、すべての準備が終わった後も帰ることを嫌がった。


家に帰るともうここでは遊べないと思ったからだ。


両親や先生からの説明でそうではないとわかったとき、光平は本当に喜んだ。


だけど、その喜びはつかの間で終わってしまった。


幼稚園の入学準備が終わって父親の運転で帰宅中、突然横から大型トラックが突撃してきたのだ。


軽だった父親の車は簡単に撥ね飛ばされて道路に何回転もして停止した。


しかし、トラックは転倒した車に対して更に突っ込んできたのだ。


それが運悪く前の座席だった。


運転席と助手席に座っていた両親の姿は、一瞬にして押しつぶされてしまったのだ。


後から聞くとトラックの運転手はそのときすでに心臓発作を起こして、亡くなってしまっていたのだという。


足だけがしっかりとアクセルを踏んだままだったので、光平の乗る車に突っ込んでしまったのだ。