その日は朝から騒がしかった。

 ……主に周りが。


 香と奈々には昨日の夕食時に第一寮の食堂で会って話もしたんだけれど、今朝も朝一番に慰めるようにギュッと抱き着かれた。

「美来は大丈夫って言うけど、やっぱり髪切られるなんて嫌に決まってるよね?」
「だよね。でもその髪型も似合ってるよ、可愛い」

「ありがとう、二人とも」

 そうしてしのぶに見守られながらほのぼのとしていたら、いつぞやのようにすみれ先輩がかけつけてきた。


「美来さん!? 昨日ケンカに巻き込まれたって聞いたけど――!?」

 叫びながら教室に入ってきたすみれ先輩は、あたしの姿を見た途端息をのむ。

 そしてそのまま突撃するように抱き着てきた。


「美来さん! 髪を切られるなんて……でも可愛い……きゅわわん……」

 心配してくれたみたいだけれど、後半はどちらかと言うと()でられた。


 今日の髪型はいつものおさげだけれど、切って整えた両側こめかみのところだけは結ったりピンで留めたりせずにそのままだ。

 すみれ先輩(いわ)く、その結っていない部分がサラサラ揺れて可愛さ倍増なんだとか。


 ……あとは、教室の出入り口から覗き込むようにしている見覚えのある女子達。