カラオケ代は奏が立て替えてくれるって言うから、後で返さないとな。

 そう思いながら帰路につく。


 眼鏡もあるから大丈夫だとは思うけど、流石にジッと目を見られると眼鏡越しでも色はバレてしまう。

 面倒ごとにならない様にあたしは少しうつむき加減にして歩いていた。


 休日だから他にも学校の生徒は出歩いてるけど、必ずしも知り合いがいるとは限らない。

 第一、その知り合いですら今はまだそれほどいないし。


 だからまさか彼らに会うなんて思いもしなかったんだ……。


 カラオケを出て少しした所の、ちょっとお高い感じのお店。

 そこからぞろぞろと出てきた人達がいて、あまり関わらない様にとその集団を避けるように歩いた。

 でも、その集団から声が掛けられたんだ。


「あれ? 美来?」
「あ、ホントだ。おい美来! 一人で何してんだ?」

 聞き覚えのある声。
 学校では毎日お昼には聞いている声。


 確認すると、勇人くんと明人くんだった。


 でも、二人だけならまだ良い。

 誤魔化すなり、適当に用事があると言ってすぐに別れれば良かったから。


 でも、彼らはよりにもよって集団だった。

 《星劉》だけじゃ無い。
 《月帝》と、生徒会の二人も。

 現実逃避でもするかの様に、あたしは頭の片隅でそういえばこのTOPの三人は幼馴染だとかって聞いたなぁと思い返していた。