「ねーねー、せっかく仲良くなれたんだから次の休みの日にでも一緒に出掛けようよ」

 朝のHR前の賑やかな時間帯。

 あたしとしのぶの近くに来ていた女子生徒がそう提案した。


「奈々ってば、またいきなりそんな事言って……」

 と、呆れ気味に言うのは渡辺さんだ。


 いじめの方がひと段落すると、しのぶだけじゃ無く元々しのぶの友達だった彼女達も良く近くに来るようになった。

 そのときに改めて自己紹介をしてもらったんだ。


 渡辺さんの名前は(かおり)と言うらしい。

 そして奈々と呼ばれた明るい雰囲気の彼女は布山(ふやま) 奈々(なな)


「ホント、奈々はいつも突然だね。でも確かにみんなで遊びに行きたいねー。……美来、どう思う」

 布山さんに同意しつつ、あたしの意見を聞いてくれたのはしのぶだ。


 嫌なら無理しなくていいよ、ってその目が語っていたけれど、あたしはむしろ大歓迎なので文句なんてあるわけがない。

「あたしも行きたい。女友達皆で女子会とかしたいし!」

「そうだよね! 美来っち話分かるー」

「あ、でも名前は普通に呼んで?」

「ガーン。じゃあ美来もあたし達のこと名前で呼んでね?」

「分かったよ、奈々」

 そんな感じで、明るい奈々がムードメーカーになってくれてあたし達四人はすぐに仲良くなれた。