さて、どうしようかな。


 数人の女子に周りを囲まれて歩きながら、あたしは方法を考えていた。


 手っ取り早いのは力技で押し通して、あたしには敵わないと思わせること。

 でもそれは立場が対等だったりこっちに有利な状態である事が条件だ。

 それに暴力は出来れば最後の手段にしておきたい。


 何だかんだ言ってもあたしは基本平和主義者だから。


 それに多分、あたしの予想が正しければ相手は社会的地位が上の可能性が高い。

 この場合はその地位を(おびや)かすのが一番。


 あたしはポケットに忍ばせておいたボイスレコーダーのスイッチを周りの女子に気付かれない様にオンにした。



 連れて行かれたのは東校舎と北校舎の間にある倉庫。

 主に体育会系の道具をしまっている場所みたい。


「……来たわね」

 お目当ての主犯格たる人物はもう来ていたみたいだ。

 見覚えのある女子生徒が、取り巻きっぽい人達に囲まれてあたしが来るのを待っていた。


 あーこの人かぁ……。


 名前は知らない。

 ただ、いつも食堂の二階席で別のテーブルから睨んできているうちの一人なのは確か。