学食は思っていた以上に広く、メニューも豊富だった。

 定番のAランチBランチとかの日替わりメニューは勿論、五千円以上する豪華なステーキまで。

 五千円なんて誰が頼むんだと疑問に思うけど、何故か人気メニューと書かれていた。


 そしてテーブル席は四角い長テーブルが連なっている場所と丸テーブルが点々と置かれている場所があって、更には二階席もあるようだった。


 大きな学校だとは思っていたけれど、何だかこれって……。

「何か、格付けされているみたい……」

「え? そうだよ? 知らなかったの?」

 ポツリと零した言葉に梅内さんが答えた。


 ってか、え? 格付け、されてるの?


「え? 本当に知らなかったの?」

 驚くあたしに、梅内さんの方が驚く。

「ある程度は《シュピーレン》さん……星宮くんに伝えてあったんだけれど……」

 その言葉であたしと梅内さんは同時に奏を見る。


 黙ってあたし達のやり取りを聞いていた奏は片手を上げて「悪い」と説明した。

「詳しく話すと美来はついてきてくれなさそうだったから言わなかった」

 と、本当に悪いとは思っていなさそうに笑顔で言ってのける。


 はあぁぁぁん?

 それ、つまりはあたしを騙したってこと?


 怒鳴りつけたい気持ちを抑えた所為か、手がプルプルする。

 ここが大勢の生徒がいる学食じゃなかったら絶対にその胸倉を掴んで問い質していただろう。