学園生活は、いたって順調だった。

こと、魔法を学ぶということにおいては。

しかし、それ以外では周囲の大人が心配していた事態が起き始めていた。

そう、貴族の子息たちの自分アピール合戦である。

行く先々で声を掛けられて、お茶やら、オペラやら、自宅でのパーティーに誘われたりする。

簡単なものについてはシャロンがバッサリと断ってくれるのだが、厄介なのがミレイド家の家格以上の階級の子息たちだった。

元から、自身の家の家格にあぐらかいてるような次男坊以下のダメダメのボンボンばかりが寄ってくるのだ。

簡単に言おうか……。

嫌味すら通じないおバカボンボンなど、相手にするはずがないと理解しようよ……。

学園での勉強はとっても楽しく、魔法科の学生とはいい距離感で過ごせて有難いのだが、一歩教室から出てしまうと普通科の貴族の子達に囲まれてしまう。

魔法科は私と同じ階級の子息と子女が数名で、他は下級貴族や市井の子達も結構いて魔法にばっかり興味があるので、あまり階級等で差別がないのだ。

なので、ここにアピールに来るアホボンボン共の態度はとっても宜しくない。

魔法科の教室の空気が一気に悪くなる。

「これは、そろそろどうにかしないとまずいわよね?」

私がシャロンにそう切り出したのは、編入から二週間目の事だった。

花やら、小物やらのプレゼント攻撃も軒並み返品してみても懲りない。

これはそろそろ盛大にはっきり口にするべきかと思いシャロンに聞いてみると、シャロンはそれはいい笑顔で言った。