「紅音。体、大丈夫か?……傷、まだ傷むか?」

 甘く抱き合った後、その姿のまま抱き締められわたしの頬を撫でながら、そう問いかけてきた。

「……いえ、大丈夫です」

 傷のある所には、なるべく触れないように抱いてくれたから、大丈夫。
 看護師さんも、毎日ケガしている部分を消毒して優しくケアしてくれたし。

「そうか。 後で絆創膏、貼り替えないとな?」

「はい」

 わたしは爽太さんに笑みを向けると、爽太さんは「……疲れたろ?もう休むといい」と言って布団をかけてくれた。

「……ありがとうございます。爽太さん」

「おやすみ、紅音」

「おやすみ、なさい……」

 わたしはそのまま、眠りについた。

「……紅音、起きた?」

「爽太さん……。はい、起きました」

 目が覚めたのは、夜19時くらいだった。

「おはようじゃないけど、おはよう」

 ジョークを交えながらそんなふうに言ってきた爽太さんに、思わずちょっと笑ってしまった。

「おはようって言っても、もう夜ですね」

「夕飯つくったけど、食えるか?」

「え、作ってくれたんですか?」

 寝ている間に、夕飯まで……。