「……んん……ん?」
  
 ふと目が覚めると、見えた景色は白い壁に白いカーテン。……そしてわたしの手を握ったままうつ伏せで眠っている姿の、爽太さんだった。

 ここって……。病院……だよね?
 え、爽太さん?なんでここに……? あれ、わたし……。なんで病院にいるんだっけ……?
 
 ふと自分の姿を見ると、腕にはたくさんのかすり傷があった。そして頭には、包帯らしきものも巻いてあった。
 自分のその姿を見て、わたしはどういう状況なのかもまだ理解できていなかった。
 
「……爽太、さん……?」

「あ……かね? 紅音っ!?お前、目が覚めたのか……!?」

 爽太さんはわたしを見て、驚いたような顔をしながらそう言ってきた。

「ここ、病院ですよね……? なんで、わたし、ここに……?」

 自分でもあまり覚えていない。事故に遭ったということだけは、分かるけど……。
 だけど薄っすらと覚えているのは、買い物帰りに子供が道路に飛び出していて、咄嗟に体が前に出た……ということだけだ。

「紅音……お前、無茶するな。……心配しただろ、バカ」

「ごめんなさい……。心配かけて……」