私は未だ眠そうな梅乃くんにペコッと頭を下げた。

こんな豪邸、二度と来る機会ないだろうからと思ってはしゃいでしまって。

高校生にもなって恥ずかしい……。

「何のごめん?」

いつもの通り表情を変えずに、小首を傾げながら真っ直ぐ私を見つめる梅乃くん。

「えっと……諸々含めて……」

「そっか」

………………。

二人の間に沈黙とともに春風が吹き抜ける。

それこそ、木々の揺れる音しか聞こえない。

……でも、不思議と気まずさはなくて。

ただただ、居心地がいい……。

暖かくてポカポカするこの空間のせい?

それとも、梅乃くんのこの独特の雰囲気のせい?