「ふああ~、ねむー…」



「りの、寝不足ー?」




大きなあくびをした私に、お昼ごはんのメロンパンをもぐもぐ咀嚼しながら聞いてくる佑奈。




「うん、まーね…」





魔王によりバイトを禁じられた私。



でも召使い生活を抜け出すためにはお金が必要!




というわけで、実は最近内職をはじめた。




簡単な編み物なんだけど、家でできるしお裁縫は得意だし。




召使い業(家事といちごミルク補充)をこなした後、こそこそ眠る時間を削ってやってはいるんだけど……



なんせ単価が安い!





「お金を稼ぐって大変だあ~…」



「りの、お昼もずっとショボいよねー最近」





佑奈が私の食べるもやし炒めに目を留める。





「そーいえばバイトもあんまり行ってなくない?あんまりシフト入れなくてお給料ももらえないとか?」



「実は……」





“魔王にバイトをやめさせられた”





「……ううん。なんでもない」






佑奈にはすっっごく話したいんだけど





『いいか召使い、この俺様と同居してることは絶対誰にも言うんじゃねーぞ』





頭によみがえるのは魔王の低い声。