「りっの~!会いたかった~!!」



「ちょっ抱き着かないでってば!」





学校が終わってすぐにバイトに向かう。



着替えてホールに出ると、一足先に勤務をはじめていた嵐くんが抱き着いてきた。




「お客さんも見てるから!!」


「だいじょぶだよ、まだほとんど客いないし~」


「そーゆう問題じゃなくて!」




渾身の力で嵐くんを引き剥がすと、「ちぇー」と頬をふくらます嵐くん。




「なんか気持ちにすっげー温度差感じるわー」



「温度差って…」



「俺はこんなにりののこと好きなのに」



「またそんな冗談ばっか言って」





はじめて会ったときの体育会系イケメンの印象は、もはや0。ただの子犬系チャラ男に成り下がっていた。





「あ、つーかさっき店長が言ってたんだけど、今日から新人くるみたいだぜ?」



「え、また!?」





嵐くんが入ってからまだそんなに経ってないのに。まあ、うちは万年人員不足だから助かるけど。