ゴールデンウィーク。


 今日は彩月と遊び。
 その帰り道。



「結菜ちゃん‼」


 のんびりと歩いている。
 そのとき。
 私の名前を呼ぶ声が聞こえた。



 声の人物。
 わかった、すぐに。


 そう思いながら。
 声が聞こえる。
 そちらの方に振り向いた。


「拓生くん」


 やっぱり。
 そこには拓生くんが。


「嬉しいな、
 結菜ちゃんに会えるなんて」


 そう言って、いつものように穏やかでやさしい笑顔をしている拓生くん。


「すごい偶然だね」


 私も笑顔で言った。
 だけど。
 その笑顔は少しだけぎこちない。


 拓生くんに想いを打ち明けられ。
 拓生くんとしっかり言葉を交わす。
 そうするのは初めてだったから。


「結菜ちゃんも出かけてたんだね」


「うん、友達と遊びに行ってたの」


「そうなんだ。
 俺も友達と遊びに行ってたんだ」


「そうなんだ」


 できている。
 なんとか会話は。


 拓生くんに想いを打ち明けられて。
 それから少し気まずさがあったから。


「そうだ、結菜ちゃん、
 このあと時間ある?」


「え?」


「よかったら、
 今からカフェでお茶でもしない?」


 えっ‼


 カフェでお茶。

 拓生くんと二人で。



 それは。

 どうしよう。


「結菜ちゃん?」


 できない。
 なかなか返答することが。



 拓生くんと二人でお茶。

 正直なところ少し困っていた。


 なぜなら今。
 ある人物。
 その人のことが頭に浮かんでいるから。