「ただいま〜!」

「おかえり〜。」

翔太くんとシェアハウスを始めて、数週間が経過した。はじめは推しと暮らすなんてどうなるんだろう、という不安があったんだけど、翔太くんを推していることがまだバレていない。

今日もかっこいいし可愛いし最高だな。
今だってエプロンを身に着けて、お出迎えしてくれるし。
アイドルで忙しいはずなのに。
できるだけ翔太くんの負担を減らせるように頑張ろう。


「今日、大学どうだった?」

「あ、まぁー、普通かな。
明日は、朝からだから。」

「そうなんだ。
明日僕、お仕事あるから多分遅くなると思う。
あと、みーちゃん、家帰ったら連絡してね。」

私と翔太くんは、シェアハウスを始める前に連絡先を交換した。
『何かと不便だから交換しよ!』と翔太くんに言われたからだ。
まぁ、推しの翔太くんと連絡先を交換できるなんて私得だけどね。

「分かった。」

私がそう返事をすると翔太くんが私の手を握って引っ張り、共同のリビングに連れて行った。



「今日、僕ねカレーライス作ったんだ。」
みーちゃんに食べて欲しくて。」

翔太くんがダイニングテーブルの椅子を引いて座らせてくれる。

「ほんと?!
私、カレーライスめっちゃ好きなの。」


「めしあがれ。」


翔太くんはそう言って、私の目の前にカレーライスの入ったお皿を置く。

「いただきます。」

翔太くんは私が食べ始めたのを見て、翔太くんも椅子に座る。
そしてニコニコしてこっちを見る。
いつもこうなんだ。
食べにくい……。

私はスプーンを持ってカレーライスをすくって口に運ぶ。




「どう?」

「美味しい。
今までで、食べたカレーの中で一番美味しいかも。」

翔太くんのカレーライスは文句のつけどころが無いほど、美味しかった。
彩りも問題ないし、栄養バランスも、野菜が入っていて問題ない。

「ありがとう。」

翔太くんもカレーライスを食べ始める。
推しが食べ物を食べる姿もテレビで見るのとは大違い。

「どうした?」

「いや、カッコいいし、可愛いなと思って。」


私がそう言うと翔太くんは


「ホントに?!僕、カッコいいしかわいい?」

と、目をキラキラ輝かせて聞いてくる。


「そんなこと知ってるでしょ。」

私は恥ずかしいので顔を少し背けて言う。

「みーちゃんに可愛いってい〜われた!
僕にかわいいって言ってくれたお礼にケーキあげる。」

「ケーキ?」

翔太くんは椅子からものすごい速さで冷蔵庫に行き私の目の前にケーキを置いた。

「はい!ご褒美。」

私の目の前に置かれたケーキはショートケーキだった。

「美味しそう〜。」

私はショートケーキが大好きだ。

「さぁ、食べて。」

翔太くんがフォークをわたしに渡してくれる。

「えぇ…、まだカレー食べてるんだけど。」

「いいからいいから。」

私は持っていたスプーンをフォークに持ち替えてショートケーキを口に頬張る。

「どう?」

口に広がった、クリームといちご。
クリームが甘すぎず美味しい。

「美味しい!」

「良かった、みーちゃんのために買ってきたんだよ。」

ドキッ

その言葉反則なんだけど…。

「翔太くんのケーキは?」

私は照れ隠しのためにそう聞いた。
すると、

「あー!!!
買ってくるの忘れてた。」

「えっ!」

翔太くんは悲しそうな顔をしていた。
だってケーキ物凄く好きだもんね。

「ショートケーキ分けてあげるから。」

私は翔太くんにそう言うと、
翔太くんは目を輝かせて、

「じゃあ、みーちゃん、あ〜んして。」

と言った。
あ〜んって恋人同士がやるあのあ〜ん!?

「はやく、はやく〜!」

翔太くんが急かしてくる。

「分かった分かった。
はい、あ〜ん。」


私の顔はきっとこの時見たことないくらい赤くなっていただろう。