「第一回シェアハウス会議を始めます。」
「いぇ〜い!」
私は翔太くんと、話し合い。通称『シェアハウス会議』をリビングで始めた。
「確か、ルールを決めるんだよね。」
「はい。」
私は、100円ショップで買った大きい模造紙を部屋から持って来た。
「お〜!
気合十分だね。」
「はい。橘さんも意見出してくださいね。」
私は、翔太くんのことを橘さんと呼んでいる。
翔太くんを推している事がバレたら、翔太くんも私も過ごしにくくなると思うから。
「ルールね〜。
みーちゃん、なんか考えてきた?」
「はい。」
私はそう言って、1枚のルールを書いた紙を翔太くんの前に置いた。
「えっと、沢山あるね。」
「どうですか?」
翔太くんは、じっくり読んでいた。
とても集中してる。
テレビでは見ない顔だな。
私だけがファンの中で見てるなんて、全国のファンの皆さんごめんなさい。
私だけ、ごめんなさい〜!
「すごいね〜、みーちゃん!
けど、ちょっと付け足してもいい?」
「良いですよ。」
私は、そう言って一応用意していたペンを渡した。
翔太くんはペンでこう書いた。
『名前を呼ぶときは、苗字禁止!
敬語も禁止。』
「えっ?!」
「よ〜し!
さぁ、みーちゃん僕の事、名前で読んで。」
めっちゃニコニコしてる。
「はい、じゃあ……」
「あ〜!敬語禁止っていうルールだよ。」
「はい。じゃない、うん。」
敬語なしか…。
こんなんじゃまた、ファンのみんなに恨まれちゃうよ。刺されたりしたらホントにどうしよう。
妄想だけど……。
「さぁさぁ、呼んで!」
「えっと……
推しの前で呼ぶなんて緊張する。
「しょ、しょしょ、翔太、くん。」
「良く出来ました。」
翔太くんは私の頭を笑顔で撫でた。