最近、香澄くんがおかしい。
「おはよう。」と声をかけたりすると、やたら顔を赤くして、まるで珍しいものでも見ているかのように驚いたような表情になり『おはよう』と小さめの声で言う。
今までは教室にいる人みんなに聞こえるくらい大きな声で挨拶しながら入ってきていたのに初めは私の顔色が悪くて心配しているのかと思っていたけど薬を飲んだか念入りに確認するようになっていたが、きちんと確認をしていた日も尚、香澄くんの様子は変わらなかった。悩みがあるなら......聞いてあげたい。友達だから。
でも考えてみれば勉強した時少しだけ密室に2人っきりって状態だったことが原因なのかもというせつもある。
苗字呼びを続けようと言われたので、学校では今まで通り"宮槻くん" "松森さん"と呼びあってはいるけど......やっぱりあの時に意識させちゃったのかな。
意識させちゃったなら、申し訳ないけど......。
私は病気だから。
恋とかしたって相手に迷惑かけるだけだし。
これ以上迷惑かける人を増やしたくないよ。

「それでね、香澄くんの様子が最近ちょっと変で......」
ひとまず私は華鈴ちゃんに相談してみることにした。
華鈴ちゃんは「確かに。少しおかしいかもね。今まで通り接してあげれば、すぐ戻るんじゃない、?」
そう言ってくれた。
私は深く考えることをやめて、次から普通通り接していこうと決めた。
これが先週の金曜日の話。
固く決意を決めて登校した月曜日。
今週の土曜日には定期検診がある。
定期検診は月に1回行くことになってて薬をもらいに行くことと最近のことなどを話すカウンセリングなどをお医者さんと行う。
このまま状態が安定すれば病名だけの症状が無いものになるかもしれないと言われている。

今のところ不安なことなんてないし、出来れば普通の子として接して欲しい気持ちもないと言ったら嘘になる。
当たり前だけど、症状がなくなることを常に願っていた。
定期検診のことを考えていたらあっという間に学校が見えてきて......
いつも通り教室に向かう。時間を確認して薬を飲んだことも同時に確認する。
教室に入るといつも私より遅い香澄くんの鞄が隣の席にあった。
何か用事があったのだと思い、私はいつも通り授業の準備を始めた。
その時、机の中にいつもなら感じない違和感を覚えた。
中を覗くと1枚の紙が入っていて、そっと私は開いた。

「「放課後、部活の時間に1階にある図書室に来てください。話したいことがあります。」」宮槻 香澄

えっ?香澄くん......からだよね?
なんだろう。話って。まぁ、いいや。言われた通り放課後、図書室に行こう。