ドキドキを隠せない私に次の日はすぐやってきた。
「みんなー!席についてー!」
先生が声をかけた合図でクラスの子が続々と席に着く。
「今日は話していた通り来週からみんなと過ごしてくれる臨時の先生を紹介します。」
その一言でみんなが息を飲んだのがわかった。
『失礼します。』
そう言いながら2-2の教室に入ってきた一人の男性。
わっ、......若い。見ただけで若いと100人中100人が断定できる優しそうな男性。
「じゃあ、自己紹介をお願い。」
はい。と返事をして先生の隣から教卓の前へと移動し教室の生徒をくるりと見渡す。
『東條 夏月(とうじょう なづき)です。名前の漢字がこれなので、よく、なつきに呼び間違えられますが、なづきです。数学の教師免許を持っていて今はここ虹丘中学校の非常勤教師と、心理カウンセラーとして働いています。短い間ですが、みんなと楽しく過ごしたいです。よろしくお願いします。』
とてつもなく爽やかな声と爽やかな笑顔。
もう、確実に優しい人なんだろうなってことがひと目でわかる。
一発目の挨拶で、クラスのみんなが来週からの生活を楽しみになったことが空気感でわかる。
「はい。ありがとう。東條先生。じゃあ、東條先生になにか質問ある人?」
担任の先生がそう言うと、クラスいちのムードメーカーが勢いよく手を挙げた。
『夏月先生は彼女いるんですかーーー!!?』
「そんなプライベートなことこんなところで話せるわけないでしょ!!」
担任の先生がそう言いつつも、夏月先生は、『いいですよ笑』と苦笑いで答える。
『彼女かぁ。半年前まではいたんですけど、フラれちゃいましたw』
苦笑いしながら答える先生を見て、ありえない。と小声で呟く女子もいるけど、唖然と固まっている人もいる。
『まぁ、半年も前の話なので、今は吹っ切れてます!それに、今日こうしてみんなに会えたことが凄く嬉しいです。』
少し前まで気まずい雰囲気だったのに、それを一瞬で変えてしまう夏月先生にはその後も、質問が絶えなかった。