「で?」
翌日、朝。
仁菜子と付き合い始めた事実を伝えると、木暮は「やっとかよ!ふう!」と喜んだ後、トーンを鎮めてそう言った。
「あ?」
「あ?じゃないっしょ。おまえの惚気は聞いてねえのよ、聞きたかったのは仁菜子ちゃんが処女かどうか」
「あー、あー……」
「処女だった?奪った?喰っちゃった?」
ポリポリと頬を掻き、誤魔化すように視線を逸らす。
そんなおれを怪しいと思ったのか、「え、もしかしてマジでか?やるじゃん紘」と、多分間違った解釈をされた。
「お前の思ってることは起きてない」
「なんだ、チキったかぁ」
「ちげーわ。怒られたんだよ」
「え、仁菜子ちゃんって怒るんだ。あ、おまえが激しくて?やるじゃんブイブイ」
「おまえ1回黙れ」
昨日、一瞬でもこんなやつを仙人だと思いこんだおれを殴りたい。木暮は仙人なんかじゃない。ただ 性に興味心身の、健全な男子高校生だった。