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魔法の恋の行方・わがままな使い魔(シリーズ2 クラリスとアンバー)


交流会6日目 18-19ページ

<グスタフ皇国・王宮・池のほとり・交流会6日目・朝7時>

早朝、クラリスはかごを持って、池のほとりに向かっていた。
この国の植物は、魔女の国のとはかなり違う。
クラリスが唯一グスタフ皇国でモチベーションが高い物、それは植物採集だった。
薬草になりそうなものを探したい。

初日の(うるし)では大失敗したが・・そう言えばきのこも難しいな。
特に薬草リキュールの新しいバージョンをつくりたい。

あと、草木染もやってみたい。春の色とか作れるといいな。
この国には植物に詳しい人はいるのだろうか・・ミエルに聞いてみようかな。

それに・・
昨日のクラビィーアの演奏はきれいだった。

アンバーとミエルが弾いていた。
音が色彩をもって、空中に漂う感じ、空に向かって絵を描くよう。
魔女の国にクラビィーアはない。初めて聞いた。
グスタフの人の指先から、あの美しい音を作り出すなんて驚きだ。

クラリスはいろいろ考えながら、池のほとり近くの大きい木が見える所まで来た。
木の根元に誰か座っている。
「イーディス!!」
クラリスは手を振った。
「・・・・」
反応がない。こんな事はありえない。
しばらくして、イ―ディスは力なくクラリスに手を振った。

<こっちに来い>というのか<あっちに行け>というのかわからない。
ただ、いつもと様子が違うことにクラリスはすぐに気が付いた。

「どうしたの?・・」
イ―ディスは膝を立てて座り、顔を下に向けている。
こんなに落ち込んでいるイーディスを見たことがない!

イーディスはつぶやくように言った。
「・・ミエルが・・俺でなく・・あいつを選んだ・・」
「あいつって?」
「グスタフ皇国の皇太子さまだよ。アンバーだ・・」
「だって、ミエルはアンバーの使い魔なんだから、しょうがないじゃない」

イ―ディスはクラリスのほうに顔を向けた。唇をかみしめている。
「アンバーはミエルを大切に扱っていない。むしろ、邪魔者にしている!」

クラリスはイ―ディスの隣に座った。
「まぁ、あんたも(あるじ)を大切に扱ってないし・・
同じようなもんじゃないの?・・別に私は気にしないけど」

イ―ディスの金の瞳が強く光っている。
「あいつらはエルフの心臓を握っている!恐怖で支配しているんだ。
許せない!!」
いつもの皮肉屋でもなく、傲慢(ごうまん)でもなくこんなに感情を出すイ―ディスを見たことがない。

「ミエルを・・愛しているのね・・」
クラリスは遠くを見て言った。やはり子供でも女の感は鋭い。
「昨日、アンバーと言い争って、胸ぐらをつかんでしまった。
その時、ミエルはアンバーをかばったんだ・・」

「もう・・ミエルに会うことができない・・絶望しかない」
「イーディス!・・」
クラリスは彼の肩を抱いた。
そのままイ―ディスは静かに泣いている。


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