鈴宮が突然部活に来なくなってから1週間が経った。


連絡を入れても返信がなく、校内で見かけることもない。


それと同時に、桜子の様子にも違和感があった。


藍沢も大雅も何も知らないらしい。


桜子本人に何かあったのか聞いても“何もない”の一点張り。


なんとなく、部内に不穏な空気を感じ始めていた時だった。


桜子が学年主任に呼び出され、入れ違いに1年生の女子が入ってきた。


「野球部の方います?」


鈴宮の友達だと名乗るその子は、野球部を集めて大きな声で話し始めた。


「楓子が松平先輩に襲われました」


頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。


松平がマネージャーを…?


「……嘘やろ?松平がホンマに?」


「嘘なんてつきません。楓子は本当に被害に遭ったんです」