「最近、鈴宮さん部活来ないね」


あの日以来、鈴宮さんは部活に来ていない。


犯人が誰なのかも分からない状態が1週間続いた。


甲子園はもう2週間後に迫っている。


本当にこれでよかったんだろうか。


鈴宮さんの傷ついた心を、無視してよかったんだろうか。 


いいわけがない。


いいわけがなかったんだ。


私…最低だ…。


「桜何か聞いてる?」


やっぱり先生か警察に話すべきだった。


甲子園よりも被害者の心を守るべきだった。


なんで隠し通すことにしちゃったんだろう。


「さくらー?おーい」


「あ…うん、何?」


ハッと我に返り、次の授業の用意にとりかかる。


「…最近、桜も変だよ。何かあったの?」