【藤北快進撃!!】

【絶対エース星矢碧】


「あーあー、碧もすっかり有名人だね」


私が持っている新聞紙には目もくれず、バットを磨いている碧は、今でも私の隣にいる。


恋は叶わなかったけど、幼なじみとしてでも隣にいてくれるだけで幸せなんだ。


大雅の話を聞いてそう強く思った。


碧の笑顔を見られるだけでいいんだ。


「年頃の男女が部屋で二人きりなのに、ホントに何もないわけ?」


突然部屋のドアが開き、声をかけられた。


私はビックリしたけど、碧は平然とバット磨きを続けている。


「母さんには関係ないだろ」


碧の両親は、つい最近終わった秋季地区大会を見に来るために一時帰宅している。


今日の夜、またアメリカへ行ってしまうみたいだけど。