思わず手が痙攣した。






視線の端で暗がりを見る。


俺の手には、手が重ねられている。





白く



白く、細い


だが爪は、ひとつもついていない。


普通なら白い指の先は、赤黒く

じわり、と血がしたたっていた。





「……お……まえ」





暗闇の中、ハ虫類のようなガラスの瞳がこちらを見ている。

一度も瞬きしない。







何かが動いて、それが唇だということが分る。

赤い細い唇。





笑ってる。

見てる。