ケータイ小説 野いちご

きみの「世界」は、こわれない

「何かが変われる気がするんだ」

 数学の教科書忘れたのに気づいて教室で騒いでいたら、たまたま通りかかった浅岡がそれを聞いて貸してくれたりしたんだよ。

 来賓用の花を生けるために花瓶を運んでいたんだけど、それが結構重くてどうしようかと悩んでいたら、浅岡くんが助けてくれたの。

 時々猫が餌を食べた形跡があるんだが、きっと浅岡くんがあげてくれてるんだろうなと思ってるよ。


生徒会の仕事で夜遅くまで残っていたら手伝ってくれた。

生物教室の植物の水やりも率先してやってくれた。

グループ活動でも指揮を執ってまとめてくれた。

しょうもない冗談にもいつも心から面白そうに笑ってくれる。

発表するときに目が合うと、ちゃんと聞いてくれていて安心する。


などなど。
浅岡くんについて聞くと、クラスメイトは自分が体験したことだったり、他の人から聞いた話を教えてくれた。


私が知るクラスでの浅岡くんはもちろんいい人だ。
この前も、背の低いこころちゃんが黒板を消そうと頑張っているのを見かねて手伝ってあげていたし。

私だってその様子を見て手伝おうとしなかったわけではないけれど、浅岡くんはいつもみんなよりも少し先に気づいて行動に移してしまう。

そんな些細な「親切」の積み重ねから、みんなはよく浅岡くんのことを見ていて、そして「いい人」と評価しているのだろう。


誰に聞いても最後には「浅岡は、いいやつ」と付け加えられた。

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