ケータイ小説 野いちご

きみの「世界」は、こわれない

「どこで息をしているの?」

 浅岡くんは「いい人」だ。それは、私からすると、ちょっぴり悲しい「真実」だけど、約束した手前、私はあれからずっと、胸の奥深くに、その真実を閉じ込めた箱を閉まっている。
まだ小春にさえ披露したことはない。

あまり親友に隠し事はしたくはないけれど、こればっかりは例外だった。


 浅岡くんは相変わらず、授業中時々口の中を噛む。
それでも、最近は彼なりに頑張っているようで、時々、授業中に飴玉を口の中で転がしているようだった。

この前麗司くんが、机の中に飴玉の缶を見つけて「お前は本当に甘党なんだな」と、麗司くん自らが飴玉の缶をプレゼントしていた。
残念ながら、机の中から見つかったそれは、私がプレゼントしたものではなかったけれど、彼なりに本当に頑張って直そうとしているのが分かって、ちょっと安心した。

本当はあまり好ましくない態度だけれど、万が一先生が見つけたところで見逃してあげてほしい、といつもこっそり祈っている。

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