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 オウガは謁見の間にて騎士の礼をとり頭を垂れていた。そんなオウガを見つめ、王ファルガルは嬉しそうに話し始めた。

「でかしたぞオウガよ。あの聖女を手なずけているらしいな。そのまま聖女を懐柔し、聖女の力を使うよう説得させよ」

「陛下しかし強要は出来かねます」

オウガの言葉にファルガルが眉間に皺を寄せ怒りの色を表す。

「我に逆らうな!!隣国が動き出しておるのだ……もうすぐ戦争が始まるだろう。そうなれば聖女のが必ず必要となる。そなたが出来ぬのなら違う手段に出るまでだが、分かるだろう?」



 王は何をしようとしているのだ?
 
 オウガの背中に冷たい汗が流れた。

「……仰せの通りに」


 俺は王の前で頭を垂れたまま、そう答えることしか出来なかった。