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朝7時半頃。


私は昨夜の出来事に少し気持ちが引きずられながら、重い足取りで会社へと向かっていた。


電車に乗ってる最中、雪から「今日寝坊して遅刻しちゃうかも」なんて連絡が来て、今日に限って久しぶりにひとりぼっちの通勤。


誰かと話している方が気が紛れて楽だったのになぁ…なんて思いため息を漏らした直後。


不意に背後から名前を呼ばれて立ち止まった。

聞き覚えのある声にゆっくりと振り向けば、そこには木嶋さんの姿があった。

ゲッ…と内心思いながらも、何だかすごいなとも思う。

だって木嶋さんは、いつも私が辛い時に現れてくれるから。


「おはようございます…っ!明里さん」


ゼェゼェと肩を大きく揺らしながら息をする木嶋さんの姿から、私を見つけて全速力で走ってきたのだということが伺えた。

私が木嶋さんに声を返す前に、木嶋さんは言葉を放った。


「あの、本当に昨日はすみませんでした。気にしないでください、つか忘れてください」