「正直さーあの子、どう思う?」


書架に本を戻していた手がぴたりと止まる。

反対側の通路から聞こえてきた声は、聞き慣れたものだった。

同じクラスのルナちゃんたちだ。



「あの子って、みくるのこと?」


「そう。仲良くしてあげてるけど、最近ちょっとウザくてさ」


「はいはい、わかる。みくるは自分の意思を持ちだしたら終わりだよね」


「でも安藤(あんどう)さん、置き物みたいであたしちょっとこわい」


「あーそれ、ちょっと前にうちらが強く言ったらそうなったんだよ。ね?ルナ」


「そうそう。しかもさぁ────」




うん、……うん。大丈夫。


裏で自分がなんて言われてるか、わかってるつもりだった。



八方美人、イエスマン、もっぱら聞き専。


それでも実際、彼女たちが話しているのを聞いてしまったときのショックは大きい。