季節は梅雨を終え、初夏になった。照りつける太陽はアスファルトに反射して、ゆらゆらと目の前の景色が揺らめく。


 学校帰り、今日花宮先輩は用事があり一緒に帰れないらしく、あの一件があり距離が縮まった高野さんと、途中まで一緒に帰っていた。




「じゃあ、私今日寄るところあるから」
「了解。また明日ね」
「また明日」




 駅近くの交差点で高野さんと別れてしばらくすると、通りに面した古いビルの前で何やら騒ぎが起きていた。通行人たちは関わらないようにと、ちらりと視線を移すだけで、さっさと通り過ぎていく。




「(なにかあったのかな……?)」



 遠巻きにその中心に視線を向けると、明らかに不穏な雰囲気の不良男子の集団が、一人の男子を囲んでいた。


 そして、囲まれている人物を見て私は固まる。