「ふざけないで!」

 朝の教室に響いた怒声。あげたのは、普段はおとなしい雅だった。壁ドンのように足を蒼の腰あたりに置き、蒼を睨んでいる。

 理由は明白。お茶会の練習をした次の日から、蒼は雅に毎朝プロポーズをするようになったから。その度その度、雅は考えさせてと断る。

 けど蒼は負けない。毎日毎日、朝になると雅に告白する。この教室で。蒼が雅に片想いしてるのはみんなに知られていたからやっとかという目線でみんな見ていた。

 昨日までは。

「あんた、いくら私に結婚してくださいって言えば気が済むの!?」
「ちょ、雅ちゃん」
「前にも言ったよね? 考えさせてくださいって!」
「いや、そうだけど」
「なのになんで毎回毎回告白するの!?」
「み、雅ちゃん、落ち着いて?」
「落ち着けないでしょこんなの!」